サーマルスロットリング対策 温度とクロック低下の診断
この記事の要点 ・プレイ開始10〜15分後に最初は好調→徐々にfps低下するなら、熱(サーマルスロットリング)を最優先で疑う。 ・確定には温度単独でなく温度・クロック・電力・throttlingフラグを同一タイムラインで監視する。温度が上限に達した瞬間にクロックと電力が急落しfpsが落ちれば熱由来。 ・対処は埃の清掃・グリス塗替・エアフロー改善が基本。さらにアンダーボルトで5〜15℃低下・性能ほぼ維持が狙える(GPUガイド5〜15℃/XDA実測CPU5℃/mypcbottleneckノート5〜10℃)。 ・温度閾値はカード・個体差が大きく、本記事の数値はすべて目安。一次実測値は順次追加(現状は公式値/目安)。
ゲームを始めて十数分するとfpsがガクッと落ちる、ファンは全開なのに性能が出ない——その正体の多くがサーマルスロットリングだ。本記事は編集部視点で、症状の見分け方から「温度とクロックを同時に見て熱由来かを確定する診断フレーム」、そして温度を下げつつfpsを保つアンダーボルトまでを、公式値と一般的な目安の範囲だけで整理する。実測fpsは創作せず、数値はすべて出典付きの目安として扱う。
サーマルスロットリングとは?なぜfpsが落ちるのか?
サーマルスロットリングは、CPU/GPUが設定された上限温度に達したとき、自身を保護するために動作クロックと消費電力を意図的に下げる仕組みだ。クロックが下がれば1秒あたりに処理できる描画量が減るため、結果としてfpsが落ちる。つまり「温度上昇→クロック低下→fps低下」という因果が一本の線でつながっている。
特徴的なのは時間差だ。起動直後は冷えているので好調でも、熱が溜まる10〜15分後から劣化が始まる。この「最初は好調→徐々に低下」パターンは熱由来を強く示唆する(mypcbottleneck・KryoZon・Corsair)。
サーマルスロットリングが起きているときの症状は?
代表的なのは突然のfps急落だ。例として60fps→30fps、240fps→220fpsのような落ち込みが、プレイ開始10〜15分後から始まる。あわせてファンが最大RPMで回り続ける、ケースが熱い、マイクロスタッターやラバーバンディング、入力遅延といった体感も出やすい(Corsair・mypcbottleneck)。
内部的にはクロックが定格ブースト以下へ急落している。例えばCPUが4.2GHz→3.1GHz、GPUの消費電力が110W→50Wへ崩壊し、その瞬間にfpsが即落ちする挙動が典型だ(KryoZon)。fpsの数字だけ見ても「重いゲームだから」と片づけがちだが、ファンの音・体感スタッター・時間差をセットで見ると熱が浮かび上がる。これらの症状が複数当てはまるなら、次の診断フレームで確定に進みたい。なお純粋なfps不足とスロットリングは切り分けが必要で、熱以外の要因も含めた全体像はfpsが出ない原因を切り分ける診断ツリーで扱っている。
どこから熱で落ちる?CPUとGPUのスロットリング開始温度の目安は?
スロットリングが始まる温度はパーツ種別で異なる。以下はあくまで目安で、カードや個体、世代によって差が大きい点を先に断っておく。
| 対象 | スロットリング開始の目安 | 補足・危険域 |
|---|---|---|
| CPU(デスクトップ) | 概ね95〜100℃で発動(Tj_max最大100℃・理想60〜80℃) | 100℃近くでもブースト交渉を続ける挙動。100℃常用は避けたい |
| GPU(現行カード) | 多くで83〜85℃前後から発動 | hotspot 86〜88℃で電力急落→fps低下が典型。hotspotが平均より20℃高いのは警告サイン |
| ノートPC | 95℃でthrottle | 100℃超は危険域 |
出典: mypcbottleneck・KryoZon。これらは「目安」であり、メーカーやモデルで閾値は前後する。重要なのは絶対値より「上限に張り付いた瞬間に性能が落ちているか」で、それを次の同時監視で見極める。
温度だけ見てもダメ?温度×クロックの同時監視で熱を確定する診断フレーム
熱由来かを確定する核心は、温度・クロック・電力・throttlingフラグを同一タイムラインで監視することだ。温度が高いだけでは「高いが性能は出ている」状態かもしれない。温度が上限に達した瞬間にクロックや電力が急落し、同時にfpsが落ちて初めて、熱がボトルネックだと確定できる。
手順はこうだ。HWiNFO64で温度・クロック・電力・throttlingフラグを記録し、MSI Afterburnerのオーバーレイでゲーム中に重畳表示する(この組み合わせが定番)。確認するのは次の点。
- HWiNFO64の Thermal Throttle: Yes フラグが立つか
- 温度がほぼ上限に達した瞬間に、クロック/電力が急落しfpsが落ちるか
- CPUパッケージ温度 vs コア温度の20〜30℃差、GPU平均温度 vs hotspot差
- fps低下と同時にワット数が崩壊していないか(例: GPU 110W→50W)
- ファンRPMが温度上昇に正しく応答しているか
温度単独でなく、温度・クロック・使用率・タイミングを合わせると診断精度が上がる(mypcbottleneck・KryoZon)。逆に、温度が低いのにfpsが出ないならスロットリング以外(設定・CPUボトルネック・ドライバ等)を疑う番だ。その分岐はfpsが出ない原因の診断ツリーに沿って進めると迷いにくい。
熱と確定したら何を直す?原因の切り分けと対処の対応表
熱と分かったら、原因を切り分けて順に潰す。原因の候補は限られているので、影響の大きい順に当たれば効率的だ。以下は公開知見(症状/原因/対処)を1表に統合した切り分け表。
| 原因 | 主な兆候 | 対処 |
|---|---|---|
| 埃の堆積 | ファン全開・吸気口が詰まる・急に悪化 | フィン/ファン/フィルタの清掃(エア吹き) |
| サーマルグリスの劣化・乾燥 | 経年で温度が徐々に悪化・CPUコア温度が高止まり | グリスの塗り替え |
| 冷却能力不足(クーラー/AIO) | 高負荷ですぐ上限到達・定格でも厳しい | クーラー強化・AIOの見直し |
| ケースエアフロー不良・配線 | ケース内が熱い・排気が弱い | 吸排気ファン追加・配線整理でエアフロー確保 |
| 室温(35℃超) | 夏場や閉め切った部屋で悪化 | 室温を下げる・吸気経路の確保 |
| オーバークロック | 高クロック設定で発熱過大 | 定格に戻す/設定を緩める |
出典: Corsair・mypcbottleneck。まずは清掃とエアフローという可逆で安価な対処から始め、改善しなければグリス塗替、それでも厳しければ冷却強化、という順序が安全だ。電源やケースとの相性も絡むため、パーツ選定の考え方は重量級PCゲーム向けゲーミングPCの選び方完全ガイドやゲーミングCPUの選び方ガイドを土台にすると判断しやすい。
ハード交換せずに温度を下げたい:アンダーボルトはどれくらい効く?
物理的な対処に加えて有効なのがアンダーボルトだ。発熱は電圧の2乗に比例するため、わずかに電圧を下げるだけで温度が下がり、しかもクロックは維持できる。結果として「同fpsのまま温度だけ下がる」状態を狙える。効果の目安は次の通り。
| 対象 | 温度低下の目安 | 性能・補足 | 出典 |
|---|---|---|---|
| GPUアンダーボルト | 5〜15℃低下(攻めた設定で20℃超の例も) | クロック維持・消費電力5〜15%減・ゲーム性能ほぼ不変 | 複数GPUアンダーボルトガイド(pcgamecheck・theportablegamer・evetech) |
| ノート中心の実例 | 正しく行えば同fpsのまま5〜10℃低下 | 主にノートPC | mypcbottleneck |
| CPUアンダーボルト | 5℃低下(よく調整すれば10〜15℃も) | 性能無損失。低電圧でブースト維持→スロットリング回避 | XDA実測・ThermalStats・camomileapp |
注意したいのは、5〜15℃という数字をCorsair/KryoZonの値として一括で語るのは不正確だという点だ。Corsairのサーマルスロットリング記事はアンダーボルトに触れておらず、症状・原因・グリス再塗布などの対処が中心。KryoZonは温度閾値や同時監視の診断フレームの出典としては有効だが、具体的な低下幅(例は-150mV undervolt等)までは明示していない。よってGPU 5〜15℃は各GPUアンダーボルトガイド、CPU 5℃実測はXDA、ノート中心の5〜10℃はmypcbottleneck、と分けて捉えるのが正確だ。
アンダーボルトの安全な手順とリスクは?
手順は段階的に詰めるのが基本だ。NVIDIAはMSI Afterburnerの電圧カーブ、AMDはWattMan/OverdriveNTool、CPUは各ツールで電圧オフセットを使う。流れは次の通り。
- 電圧を25〜50mV刻みで少しずつ下げる
- FurMark等で15〜30分の安定性テストを行う
- 問題なければ実ゲームで検証し、もう一段下げるか判断する
リスクは比較的小さい。電圧を「下げる」操作のため物理破損のリスクは低く、下げすぎても最悪はドライバクラッシュ=再起動で復帰するのが一般的だ(pcgamecheck・ThermalStats)。とはいえ安定性テストを省くと、ゲーム中に突然落ちて原因の切り分けが難しくなる。面倒でもテストはセットで行いたい。電源容量に不安があるなら、構成全体の余裕をRTX50世代対応の電源容量計算ガイドで先に確認しておくと安心だ。冷却に余裕を持たせた構成からそのまま選びたい場合は、重量級ゲームが快適に動くおすすめゲーミングPC2026の予算帯別構成も合わせて検討するとよい。
よくある質問
Q. 温度は高いのにfpsは普通です。これはスロットリングですか? A. 温度が高いだけではスロットリングとは断定できません。HWiNFO64でThermal Throttleフラグが立っているか、温度が上限に達した瞬間にクロックや電力が急落してfpsが落ちているかを同時に確認してください。クロックが維持できていれば、その温度では性能は出ています。閾値はカード・個体差が大きいため、本記事の温度はすべて目安です。
Q. アンダーボルトでfpsは下がりませんか? A. 正しく行えば性能はほぼ不変というのが各ガイドの報告です(GPUは5〜15℃低下で性能ほぼ不変、CPUはXDA実測で5℃低下・性能無損失)。電圧を下げてもクロックを維持できるよう調整するのが目的だからです。ただし下げすぎると不安定になるため、25〜50mV刻みと安定性テストを必ずセットにしてください。
Q. まず何から手を付けるのが効率的ですか? A. 可逆で安価な順、つまり清掃とエアフロー改善からです。それで改善しなければグリス塗り替え、さらに冷却強化やアンダーボルトへ進みます。並行してHWiNFO64+MSI Afterburnerで温度とクロックを監視し、対処の前後で本当に改善したかを数値で確認すると無駄打ちを防げます。
出典・一次情報
- CORSAIR Explorer — What is Thermal Throttling?
- CORSAIR Explorer — How Hot is Too Hot for a GPU?
- mypcbottleneck — Thermal Throttling for Gamers(症状・閾値・診断・ノートのアンダーボルト5〜10℃)
- KryoZon — CPU vs GPU Throttling Gaming 2026(温度×クロック×電力の同時監視フレーム・閾値)
- XDA Developers — I undervolted my CPU and it dropped 5C without losing performance(CPU 5℃実測)
- ThermalStats — Undervolting CPU & GPU: Lower Temps, Same Performance
- PC Game Check / Theportablegamer / evetech — GPU Undervolting Guide(GPU 5〜15℃)
- camomileapp — How to Undervolt a CPU
※温度閾値・低下幅はカードや個体差が大きく、本記事の数値は公式値および各ガイドの目安です。一次実測値は順次追加します(現状は公式値/目安)。




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